建てる前に知っておきたいことがある
~作り手たちが本音を語る、はじめての試み~
秋田流儀のコラムは、毎週金曜日に更新。
担当ライターIが、「家づくり初心者」の目線から
プロフェッショナルの作り手たちに、さまざまな質問やテーマを投げかけていきます。

 秋田流儀では、毎月1回、忙しいスケジュールの合間を縫って、建築工房アンサー、サンコーホーム、松美の家、そしてむつみワールド、地元のハウスビルダー4社の企業の代表者たちが顔を合わせます。定例会議というよりもざっくばらんな座談会。毎回「家づくり」について話し合います。お酒を少々嗜みリラックスした雰囲気の中、笑いがあり、そして時折脱線することもあり…しかし、テーマからは一切逸れることなく、彼らの熱い本音が飛び交います。全てのメンバーにとって、それは刺激的な時間のようで、シビアな話題もたくさん出てきます。

そもそも、“競合相手”だったこの4社が初めて集まったきっかけといえば

 外部プランナーからのとある企画提案。それまで“競合相手”だった4社がつながった経緯はここからはじまります。「秋田市内でまとまった土地を共同購入して、地元ビルダー各社でモデルハウスを建てませんか?」岡山県で地元ハウスビルダーのみによる住宅展示場が成功を収めたという事例をヒントに、秋田でも住宅業界全体を活気づけたいという趣旨でした。秋田県内のハウスビルダーに声をかけ、プレゼンへの参加を依頼したところ、地元で家づくりに携わってきた企業が一緒に何かをするという新しい試みと、企画の発想に興味を示し、集まってくれたのがこの4社でした。
 とはいえ、これまでに横のつながりがほとんどなかった秋田の住宅業界です。当初は、互いに互いを探り合うような感じで、プレゼン会場に肩を並べました。しかし、いざ蓋を開けてみると…候補となる土地も今はない。具体案も用意されていない。家づくりのプロたちから見たら、まるで夢を語っているような、非現実的な企画案だったのです。「忙しい時間をムダにした」「怒りさえ込み上げてきた」プレゼンを聞けば聞くほど、企画者たちと4社との間の溝は深まるばかり。それはもう、救いようがないくらいの険悪な状況でした。
結局、プレゼンは大失敗。話し合いの折り合いがつかず、時期早尚という理由で共同でモデルハウスを建てる企画は、実にあっさりと白紙に戻ってしまいました。

うまい食事とうまい酒が心を繋いだ

 しかし、同じ日に予め用意されていた懇親会でのひとときが、流れを大きく変えました。その時訪れた秋田市内のとあるお店は、食事も、お酒も、雰囲気も抜群だったのです。緊張感が張りつめていたプレゼンから一転、皆にとって楽しい時間になったようです。おいしい料理には何か、人の心を和ませる不思議な力があるのかもしれません。彼らは食事をしながら、とにかく家づくりの話に花を咲かせました。その時の会話の中から見えてきたのは、ライバルとはいえ、仕事に対する真っ直ぐな姿勢や価値観が一緒だったこと。それぞれの手法は違っても、みんな家づくり一筋の職人たちです。これは正しいと思っていること、あるいは間違いだと思っていること根っこの部分で大切にしてきたマインドは共感できるものだったんです。「家は“売る”ものではない。“造る”ものである」「適正価格であり、価格以上の価値を実感できる家づくりを手がける」「ハウスビルダー(職人)であり続けることに誇りをもっている」…。この同じ想いを何とか「かたち」にできないだろうか?4社が集まれば、もっと大きな力になるかもしれない。家を建てる前に、知りたい知識を本当に必要としている方たちに向けてもっと家づくりの楽しさをご提供できるかもしれない。
 そうしてよきライバルの関係を守りつつ、彼らが認め合う家づくりをひとつのブランドとして立ち上げることになったのです。ネーミングが決まるまでも、4社で長い時間をかけて話し合いました。
こんな経緯から生まれたのが、「秋田流儀」というブランドです。

建てる前に知っておきたい、作り手たちの本音


 ホームページのコラムでは、4社のハウスビルダーが本音で話し合い、共有できる家づくりの考え方=秋田流儀を配信していきます。なぜ、同業他社が集ってこんなことをしているのかといえば、それは、消費される家ではなく、丁寧につくられる家の本質を正しく、わかりやすく伝えたいから。

 「4社で急いでモデルハウスを建てなくて良かった」とメンバーたちは口々に話します。もしモデルハウスを建てていたら、プロフェッショナルたちが集まって、家づくりについて話し合い、ともに発信する機会が生まれることはなかったのかもしれません。時には裏話なども交えながら、彼らにさまざまな質問を投げかけ、ハウスビルダーの家づくりに関する内容を掘り下げていくつもりです。インテリア雑誌や、家づくりの教科書よりもずっとためになる目からウロコの話題をより多く発信できたらと思っています。
 それぞれ、自分たちのフィールドを守り、長年家づくりに携わってきた地元のハウスビルダーたちが集い、ウェブというメディアを通じて施工方法や技法でもない、また自社の宣伝でもない「家づくりの本質」のみを語り合い、その声を直接届けていく。これは、はじめての試みでもあります。
楽しさと、気づきをもたらす家づくりへ。
「秋田流儀」は、ここからはじまります。
コラム「秋田流儀」、次回のタイトルは「家のつくり手たちに相談しよう」。
誰に聞いていいのかわからない家づくりを、わかりやすく知るためのヒントをご紹介します。
お楽しみに!

秋田流儀のコラムは、毎週更新。担当ライターIが、
「家づくり初心者」の目線からプロの作り手たちに、
さまざまな質問やテーマを投げかけていきます。